書心忘るべからず〜夢のあとさき

むかしばなし 


今日は昔話をすこし、してみようかなと。
長いお付き合いの方は、もうすでに聞いた事がある話だとは思いますがあしからず(笑)
私の書のはじまりのはじまり、ルーツ、そんなところです。


私がまだ小さかったころから、ずうっと家の中に飾られていた一枚の書作品。
大きさは半切サイズくらいあっただろうか。昔ながらのむき出しの額表装。
まだ漢字も読めなかったし何て書いてあるかなんて興味も全然なかったけれど
いつもそこにあって、毎日目にしていて、そこにあることを不思議にも思ってなかった。


「あなたのお爺ちゃんが書いたのよ。書道の先生だったの。」


私がお習字を習い始めてしばらく経った頃だったと思う。
母方の祖父が書いたものだと知ったのは。


その当時、習い事で流行だったのはお習字とそろばん塾。
そろばん塾にはお習字よりももっとたくさんの同級生が通っていた。
私も流行に負けて、さしてそろばんになど興味がなかったのにお友達が通っているからと
「そろばん行きたい〜」と随分母に頼んだものでした(笑)


でも、私のそんな軽い頼みを母は聞き入れません。←見透かされてた笑
お習字の時は全く反対などしなかった母。
この違いは何なんだろうって思っていたけれど、それも当たり前の事だったんですね。
母もお習字に関しては私にやらせたいと思っていたようでした。


本当は、祖父がもっと長生きしてくれていて、
祖父から色々な事を習いたかったなぁ〜って思い始めたのがいつの頃からだったのか。
記憶にないけれど、ずうっとずうっと心の中でその想いは大きくなっていた。
私は、祖父と同じ時を過ごすことは全く出来なかった。
私がこの世に生まれたとき、すでにもう祖父はあっちの世界へ逝ってしまったあとだった。


私が知っている祖父は、母から、大抵は父から伝え聞いたことだけ。
母は生い立ちが色々複雑だったので、自分の過去をあまり語ろうとしない人で
祖父の事に関しても、たくさんの情報を私にくれることはなかった。
父は、母と結婚する前、よく母の実家に遊びに行った時の事を話して聞かせてくれた。
自分を息子のように頼り、色々頼み事をしてくれたんだよ、なんてことを。
ちょっとお金が入ると趣味の盆栽や
筆・墨などを買って来ては家計を困らせた、なんていうのは母の話。(笑)
その母も父も、もういなくなってしまった。祖父の事を語ってくれる人はもういない。



祖父は有名な書家とかそんなんじゃなかったけれど、
学校で書道を教えていた人で、家でも大人の生徒さんが随分習いに来ていたそうだ。
小さかった頃、そんな話を聞いていた私は、絶対に逢う事の出来ない祖父に憧れを抱くようになっていた。
お習字をおじいちゃんに習いたかったって想いがずっと心の中にあった。
どうしてなんだろう。何故そんなに執着するようになったのかわからない。
今はただ、血のつながりがなせるものだったとしか自分でも言いようがないのだけれど。
或いは叶わなかった事だからこその執着ってだけなのか。


今の自分が、そんな祖父への想いから成り立っているとまでは思わないけれど
少なくとも、私自身に祖父の影響がある事だけは確かだ。
逢ってもいない人からそんな事ってあるんだろうかと思ったりもする、けれど
そうなのだから仕方ない。
私を書へとかき立てるものの理由の一つがそこにあることも、そうなのだから仕方ない。


書は楽しい、心が落ち着く、気持ちが整う、集中出来る、日常を忘れる……などなど
書を続けているのにはそんな色々な理由があります。
書があったおかげで、キツい毎日をやってこれた時期もありました。
現実的に見ても、人生をかけても習得出来ないもの、学び切れないもの、
…だからこその魅力、それもあります。
でも私にとっての本質はそこではなくて、
ただただ血がかき立てられるとしか言いようがないのが本当のところ。
ただ書きたい、書いていたい、書に触れていたい、それ以上に明確な理由なんてなくて
ただ心の中から、血の中から、書きたいと「感じる」ことがあるだけなのだとしか。


遠回りをしたけれど、今やっと、本来自分がいるべき場所にいるって…そんなふうに感じています。


書が出来ることに感謝。……それにつきます^^





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category: わたしについて

Posted on 2016/04/13 Wed. 00:13 [edit]  /  trackback: 0  /  comment: 2

コメント

長い間、ご無沙汰しておりました
このたびの、熊本地震で被災された方々には、お慰めの言葉もありません。ただただ、痛ましさで胸いっぱいです。
ところで、以前、翔麗さんのお兄さんが九州在住とかお聞きしたように記憶したおりますが、ご無事でしたでしょうか・・(記憶違いなら幸い・・)
ふと、翔麗さんの幼い日の、お兄さんとの思いでを語られた情景を、思い浮かべました・・
そして、なにより感動したのは、お祖父さんへの思い・・・どうぞお祖父さんの血筋を誇りに、書の翔麗ワールドを発展させてくださいね。
「うらら書道教室」おめでとう!!
本当に素敵な、こころほのぼの、翔麗さんの名にふさわしい命名です!!
小生少し心配しつつ、娘の新たな旅立ちを祝う父親の気持ちに近い感激を味わっています(笑)
  なお、小生、筆絶ちは避けたい思いで、心身のリハビリに立ち向かっていますので、ご安心ください。
      伀   拝

#- | URL |  2016/04/17 19:39 * edit *

★伀さん

こんにちは!お久しぶりでした^^
いつもありがとうございます。


今回の九州での地震、驚きましたね。
ここ数日は私もテレビにかじりつき、状況を見守っていました。
伀さん、覚えていてくださったのですね。
おっしゃる通り、私の兄は熊本におります。
そして今回の震源地にもとても近いところにおりました。

安否はすぐに確認がとれたのですが、その後で本震と呼ばれるものがきました。
最初の時点でもとてもパニックだったのに、それが前震だったとは…
幸いその後も、兄や、兄の家族達もみな無事との連絡がとれました。
兄の所は幸いだったと思います。震源地に近かったのですが、住んでいる所も壊れることなく、
電気なども通っており、今日になってガスも来たと言っておりました。
水道だけは出ないようですが、その辺りも何とか凌ぐ事が出来ているらしく、
地区によってかなりの差があるのだという事がわかりました。
今も物資は足りてない所が多いようですし、不安な夜を過ごしてらっしゃる方がたくさんいらっしゃいます。
兄もまだ家の中では恐くて寝泊まりは出来ないと言っていました。
車の中で過ごしているようです。
いつになれば安心することができるのか、これからどうするのか
そんな事も心配で仕方ありませんが、とりあえずは元気で無事だったという事が何よりでした。
身体が元気であれば、何かしらすることができますものね。
兄はその強さを持っている人だと思っております。
なので私も今日は少し自分の事をやる時間を持ちました。
とにかく、一日も早く色々な事が落ち着いて、
復旧に向けて動き出す事が出来るようになることを
ただただ、祈るばかりです。


そんな中での教室開講なのですが、
それはそれ、私は私で生きて行かなければなりませんので
気持ちを切り替えているところです。
今回のお話は、周りの方のご厚意で実現することになったもの。
その方に恩返し出来るように、とにかく頑張りたいと思っておりマス^^
祖父にも恥ずかしくないように^^


伀さん、旅立ちを祝う父親の心境でいてくださっているなんて、
私の方が感激です;;本当にありがとうございます。
本当の父はもういませんが、こうして父のようにお話が出来る方がいるというのは
ホントに有り難い事だと思っております^^
みていてヒヤヒヤする事もあるかもしれませんが(笑)
どうぞ、温かくこれからも見守って頂けたらウレシイです。

心身のリハビリ…書はきっとその手助けになってくれるはずです。
ご自愛しながらマイペースで筆を持つ時間を持ってみてくださいね。


いつも感謝です。ありがとうございます。

翔麗 #- | URL |  2016/04/17 23:08 * edit *

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